犬の排泄のしつけ

たくさんの飼い主が犬の排泄のしつけに失敗しているのは、犬が屋内と屋外を区別できさえすれば、しつけは完了すると思い込んでいるためです。確かに犬は屋外と屋内を区別することができます。しかし飼い主の態度から判断して、どの犬も必ず「排泄は屋外ですべきである」という結論に到達するわけではありません。また飼い主は犬には善悪の区別ができると考えているが、犬には安全か危険かの判断しかできません。犬が世の中の仕組みを学ぶには、色々な方面からパズルのピースを組み合わせなくてはならないのです。

以下に排泄のしつけの典型的な事例を、あるトイプードルで紹介します。

飼い主の目から見るとトイプードルが排泄に失敗したのはたったの3回です。最初は玄関で、次に食卓の下で、そして最後が地下室で。その他はことごとく見つかって叱られているか、正しい場所(庭)でも排泄しています。この経験からトイプードルは何を学習したでしょうか。確かに「室内はどの場所も危険で、芝生は安全だ」ということを理解したかもしれないですが、「寝室とリビングは危険、台所では食卓の下以外は危険、芝生とソファと地下室はこれまでのところ安全」と考えた可能性も充分にあります。

確実なのは「飼い主がいなければ危険はゼロで、飼い主がいればおよそ半分の確率で危険だ」ということだけです。もしも自分がトイプードルで、何かあってもトイレのことで叱られたくない場合は、たとえ庭に出ている時でも飼い主がそばにいれば排泄をがまんし、急いで地下室に駆け込んでそこで安全に事を済ませるのではないでしょうか。そしてここでもまた「独りでいる時に排泄をすると安全である」という仮説の正しさが証明されてしまうのである。

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